本日のたよりは、大野弘さんから頂いた『メタセコイヤ』シリーズの第2弾をお届けいたします。 大野さん、ご案内をお願いいたします。
「生きる智恵
興味を持った『メタセコイヤ』は知れば知るほど不思議な智恵を持っていることに驚かされます。 小さな昆虫たちや現存している植物達も、それぞれに生きようとする意志を持っているからこそ、激変した地球環境に逞しく生きながらえて来たのでしょうが、悠久の年月人智を越えた、どの様な進化を成し遂げてきたのでしょうか?
絶滅したと思われていた『メタセコイヤ』は、奇跡的に中国四川省で発見されて半世紀、今は沖縄を除く日本全国に、その子孫を見ることが出来ます。 針葉樹で落葉するのは、落葉松(カラマツ)やメキシコ原産の落羽松(ヌマスギ)と3種類しか有りません。 そんな落葉高木『メタセコイヤ』の冬の表情を垣間覗いてみました。 大野弘」
「写真上: 殆ど葉を散らせてしまった木々は、太さこそ違え樹高を揃え風による倒木を防ぐためにお互いに助け合っているのが伺えます。」
「写真上: それらに木の下には、落ち葉が重なり合って美しい模様を見せていました。 互いに絡み合って風にも飛ばされない葉っぱは幹の周りを保護し自分達の栄養になっていくのです。」
「写真上: 写真が上下反対かと思われますが、これは水面に映ったメタセコイヤになります 。雲の姿が美しく意欲を注がれました。 この季節は風がさざ波を立て鏡のようにさせませんので千載一遇のチャンスにシャッターを切りました。 この池は澱んでいますので透明度はありませんが、上手く反射してくれました。」
「写真上: こちらが本物です。本来は一枚で池と一緒に撮すのですが、露出が空と池では異なりますので敢えて別々にしました。」
「写真上: 中国では『メタセコイヤ』を『水杉』と呼んでいるようですが、この状態を見れば納得がいきます。 『メタセコイヤ』はこの様に水際を好む様で、二つの特徴が見て取れます。 一つは気根で水中にある根は呼吸出来ない為、この様に気根を出して呼吸しています。 まるでマングローブの林に見られる『ヤエヤマヒルギ』と同じですね。 そして更に幹の形を見て下さい。 地盤が軟らかいために倒木を防ぐため幹周りをリブで強度を上げています。 これは水辺のメタセコイヤだけに見られる現象で、太古の昔から少しずつ進化し生きながらえてきた智恵なのですネ。」
「写真上: そして偶然(12月30日)夕日が気根をシルエットにしてくれました。 これが結局昨年最後の夕焼けになったのです。」
「写真上: メタセコイヤの実です。 大きさはサクランボ位ですね。 落葉時に大量の実を落としますが、落ち葉に遮られて新しい命の誕生は僅かかと思います。」
「写真上: 松ぼっくりとメタセコイヤとの大きさを比較してみます。 左上は『テーダ松』又は『フランス松』で、箕面の一部山中に自生している図鑑にもない稀少な松です。 右上は北米原産の『ストローブ松』で、主に中部地方以北に多いと図鑑に出ていますが、大阪の外れ剣尾山に群落があります。 特徴は松傘に松ヤニが大量に付着している事です。左下はお馴染み赤松と黒松で、右下が『メタセコイヤ』¥500硬貨と比較して下さい。 尚、更にでかい松かさの大王松(ダイオウショウ)はテーダ松の3倍以上有り、マクワウリくらいのサイズになります。」
大野さんのメタセコイヤへの深い思いを感じます。 気持ちが晴れ晴れとなる素晴らしい写真もありがとうございました。 次回のお便りを楽しみにお待ちしております。
心痛: 人質事件には心が痛みます。 ご本人も、ご家族も、どれほどの恐怖に襲われているかと思うと、本当に辛くなります。 人間は最も残酷で愚かな生き物ですね。 いつまでも、どこまでも争いを続けて… メタセコイヤの助け合いの精神を見習いたいものです。 どうか、無事に帰って来れますよう…
本日の波瀬: 深夜0℃、早朝は-1℃まで下がりました。 お昼前からぽつぽつと雨が降り出し、夜も深まり、本格的な雨となりました。 気温は4℃です。
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